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弁護士コラム2 「インターネットにおける名誉毀損等」 を公開しました

2019年5月7日

インターネットにおける名誉毀損等

1 はじめに

「ブログに私の名前と悪口が繰り返し投稿されている」
「ネットの口コミサイトに自社に関する事実無根の悪評が投稿されている」
このような場合に、法的にどのような対処ができるでしょうか。
インターネットの発達により誰でも気軽に情報を発信できるようになりましたが、その反面、個人や企業・団体の名誉が侵害される事例が増えています。
本記事では、インターネットで名誉が毀損されてしまった場合に、どのように対処すべきか、具体的な方法をご説明させていただきます。

 

2 記事の削除について

まずは、これ以上被害者の名誉が毀損されないよう、インターネット上の投稿や記事(以下「加害記事等」といいます。)を削除しなくてはなりません。
そのためには、「加害記事等の保全」、「削除の要求」、「(削除されない場合に)裁判所の手続」の順番で検討する必要があります。

① 加害記事等の保全
投稿・記事を、ウェブページ自体の保存や、スクリーンショットや、アドレスのコピーで証拠として残して下さい。
第三者に「名誉毀損行為がなされた」と明確に説明できるようにするためです。

② 削除の要求
加害記事等が掲載されたブログやツイッターの管理者(以下単に「管理者」といいます。)に、加害記事等の削除を要求します。
このとき、管理者が定めた削除方法があれば、その方法に従って下さい。

③ 裁判所の手続
もし管理者が削除に応じない場合には、裁判所の手続を用いることになります。具体的には、加害記事等の削除を求めて仮処分申立や訴訟提起を行います。

  

3 損害賠償について

加害記事等がなくなれば十分という場合もあれば、名誉を毀損した人物に損害賠償を請求したいという場合もあります。
損害賠償を請求するためには、「加害者の特定」、「損害の請求」、「(請求に応じない場合に)裁判所の手続」の順番で検討する必要があります。
なお、加害者を特定し、民事訴訟を提起しても、加害者に賠償する資力がなければ賠償を得ることができず、費用倒れとなりかねません。損害賠償まで求めるべきかどうかは、個々の事例毎に慎重に検討する必要があります。また、加害者の情報(通信ログ)は時間の経過(多くは3カ月から6カ月)により抹消される場合がありますので、法的手続を用いても加害者の特定ができない場合があることに注意して下さい。

① 加害者の特定
加害記事等が投稿されたサイトの管理者に対し、「プロバイダ責任制限法」に基づき、加害者の情報開示を求めます。
ここで加害者の個人情報まで開示されたら終了ですが、加害者のアクセス情報(IPアドレスなど)が判明しただけであれば、当該情報から加害者を特定するために、さらなる情報開示(例えばIPアドレスを管理するインターネットサービスプロバイダを相手方とする情報開示請求など)を求めます。
なお、任意の開示に応じないようであれば、加害者の情報開示を求める仮処分申立や訴訟提起を行う必要があります。

② 損害の請求
加害者が特定できたら、加害記事等により被った損害の賠償を求めます。

③ 裁判所の手続
加害者が任意に賠償しない場合には、損害賠償を求めて訴訟を提起します。

4 終わりに

個々の事例により、名誉毀損に該当するか、記事の削除が認められるか、損害賠償まで求めるべきか、その判断は異なります。
対処方法の詳細につきましては、当法人の法律相談にて担当弁護士にご相談下さい。以上